さつき会ブログ

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三川を眼下に臨む、こだわりの山荘~アサヒビール大山崎山荘美術館

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 重厚な趣がある中に、実家のような温かさを感じるアサヒビール大山崎山荘美術館。かつてマンション建設のために取り壊す計画もあったというこの山荘が、美術館として保存されたことに感謝せずにはいられません。
全景
英国風ゴチック様式の山荘

 アサヒビール大山崎山荘美術館は、天下分け目の戦いで知られる天王山の麓にあり、京都駅と大阪駅のほぼ真ん中に位置します。JR京都線の山崎駅か阪急京都線の大山崎駅まで、京都、大阪のどちらからも20分程度。駅から徒歩約10分。少々急な坂道ですが、駅前から無料送迎バスも出ています。
 駅から坂を登っていき、山の中のトンネルをくぐると、どんな世界が待ち受けているのだろうとワクワクしてきます。
入り口のトンネル
山荘入り口のトンネル

テムズ川の記憶をもとに選んだ眺望
 坂道を登った先では、自然を活かした木々と広々とした庭園、そして英国風ゴチック様式の邸宅が迎え入れてくれます。この山荘は、関西の実業家、加賀正太郎氏が自ら設計し、何度も改築を繰り返して完成したものだそうです。そのためか、随所に正太郎氏のこだわりが見られ、別荘でありながら本宅のような味わいと温かさを感じます。
 正太郎氏のこだわりは、暖炉や壁面装飾、ステンドグラス、2階の浴室など枚挙にいとまがありませんが、中でも私が大好きなのが2階のテラスからの眺めです。正太郎氏は、イギリス遊学中に眺めたテムズ川の流れの記憶をもとに、木津、宇治、桂の三川が合流するこの地を選んだそうです。今は、このテラスは喫茶室として利用されており、美味しいお茶とケーキをいただきながら、景色を堪能することができます。対岸には石清水八幡宮のある男山が見え、京都や奈良の山々も見渡せます。
テラスからの眺望
テラスからの眺め(私のカメラの腕前では、景色の素晴らしさを十分お伝えできないのがもどかしいです)

安藤忠雄氏設計「地中の宝石箱」での名画鑑賞
 正太郎氏の没後、大山崎山荘は、平成のはじめには傷みが激しく、荒廃していたそうです。正太郎氏が創業に関わったニッカウヰスキーの株を託すなど、アサヒビールの初代社長の故山本爲三郎氏と深い親交があった縁で、アサヒビールが山荘を復元し、1996年に美術館として公開することになりました。
 復元の際、建築家・安藤忠雄氏の設計により、コンクリートの展示室「地中の宝石箱」が加えられました。当時、安藤忠雄建築研究所の一員として改修に携った同窓生の岩田恵さん(d/dt Arch.パートナー、1991年工学部卒)に、改修のポイントを伺いました。
 「『“地中の宝石箱”が庭園側から見えなくなるように!』と安藤さんが何度も言われていました。土のレベルに配慮したり、植栽を増やしたり。25年経って、今は緑に埋もれて庭園に馴染みました。安藤さんは、『建物は古くなるが、木は大きくなる』ともおっしゃっていました。
 建物の中では、本館の内装とできるだけ違和感のないように展示ケースをデザインしたこと。これも安藤さんが『新しく見えないように古めかしく』と強調されていました。」(岩田氏より)
 改修時には、そんな配慮があったのですね。構想通り、今では木々に隠れて、コンクリートの違和感はほとんどありません。
 「地中の宝石箱」では、モネの「睡蓮」やピカソ、モディリアーニなどの作品が常設されており、柔らかく曲線を描いた壁面と相まって、ゆっくりと鑑賞できることも魅力の一つです。
地中の宝石箱
木々に埋もれて周囲に溶け込んでいる「地中の宝石箱」

 大山崎山荘美術館にはまだまだ語り尽くせない魅力がたくさんあります。ぜひ一度足を運んで、ご覧いただけたら幸いです。

アサヒビール大山崎山荘美術館
美術館へのアクセス(JR山崎駅、阪急大山崎駅からの無料送迎バス時刻表など)
岩田恵氏略歴など

(担当:ゆっちょむ)


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Another Energy展~挑戦し続ける力―世界の女性アーテイスト16人 

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さつき会会員のFAさんからいただいた森美術館の記事です。

友人と出かける約束があいにく月曜日で美術館が軒並み閉館だとがっかりしていたところ、クリエイティブテクノロジストの長男の紹介で出かけたのが、六本木・森美術館の《アナザーエナジー展 挑戦しつづける力ー世界の女性アーティスト16人》でした。

Another Energy →SDGsや自然エネルギーの話?
世界の女性アーティスト→若手の、いわゆる前衛芸術の旗手?

という連想はまったく的外れ。ある意味では「期待」抜きで行った展示に度肝を抜かれました。
登場アーティストは72歳〜106歳。今年4月からの会期中にお一人亡くなられましたが、みんな現役。この展覧会のための新作もありました。なにしろ作品が鮮やか!色も、形も、生き生きしていて、スケールも大きい。たとえば、ホロコーストや移民問題をとりあげた作品は、テーマの深刻さ、描かれた状況の悲惨さが、美しい色遣いや優しい線と不釣り合いなほどでした。暗い話を暗く描くのではない表現。それだけに目を背けきれなくなりました。 
IMG_0762.png 
ベアトリス・ゴンザレス


このアーティストたちの背景・出身は非常に多様で、アート(美術)で表現したかったから、造形によって表現できたから、という軽やかさを感じます。もっと適当なメディアがあれば、詩でも音楽でも映像でも論文でも何でもよいけれども、というような。各人の展示には本人インタビューのビデオも流れ、本人やプロジェクトについての話を直に聴くことができて作品への理解が深まります。

そして、どなたも好奇心が旺盛!それが創作の原動力。「i面白いことがいっぱいで。」「社会には問題がいっぱいで。」「あれも試してみたくて。」と、思索も行動も止まらない勢いを感じました。たとえば、陶製のゴミ箱や新聞紙の束。この作家は焼き物を薄―く仕上げることに夢中になり、それで空缶や新聞紙を作っているのですが、その作業を思うと果てしなさに目がくらみます。展示品なので触れられないのが残念でした。 IMG_0765.png IMG_0755.png
三島喜美代



また、全体を通して「日本ってなんてmarginal!」とビジュアルにも行動や考え方の点でも痛感しました。日本列島が極東の位置にある世界地図。中央が大西洋の地図はよく見かけますが、アラビア半島がど真ん中の地図から日本はまさに落ちそうな位置でした。あるいは、長いSilk Road(絹の道)の最終地が「富岡製糸場」なのでした。
image3.png image2.png 
 アンナ・ボギギアン


会期が延長されて、2022年1月16日まで開催されています。
美しいものを見たい方も、刺激が欲しい方も、女性のパワーを感じたい方も、また六本木ヒルズ高層からの眺めを楽しみたい方も、ぜひお訪ねください。(さつき会会員FA)

(担当 Aozora)


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